どうも、ぜっとんです。
「機械設計」の仕事ってどんなイメージがありますか?
実際に職場の若手の機械エンジニア(20代前半)数名に、機械設計のイメージをヒアリングしてみました。
- 図面をCADソフトで描く
- モデルを作って解析をする
- 自動車の部品や装置の設計をする
といったイメージでした。
大まかに製品を設計することはイメージできていますが、具体的な業務内容についてはあやふやでした。
「機械設計」の仕事を一言で表すと範囲が広いので、「機械設計」の仕事について1つ1つ細分化して解説していきましょう。
機械設計の定義
まずは機械設計の定義ですが、自分の経験と参考文献から引用して下記に示します。
『さまざまな知識や経験を駆使して、客先(ユーザー)から要求される仕様にあった機械を創造すること』
知識や自分の経験、過去の諸先輩方のノウハウを活かしてユーザーからの仕様にマッチする機械を作っていきます。
検討するためには、工学系の学問(材料力学・機械力学・熱工学・流体工学)が必要です。
ほかにも、機械製図の手法、機械要素、様々な規格、法令etc.
と様々なことを精通していることが必要です。
また、大切にしなければいけないこともたくさんあります。
コスト削減、スケジュール管理、環境性、安全性、保守性、耐久性、小型化、軽量化、騒音軽減etc.
などなど、機械設計は高機能・高精度・高速化を実現するため、検討すべきことは非常に広範囲で多岐にわたります。
解説動画:「機械設計」の仕事ってどんな仕事?現役機械エンジニアが簡単に解説
このブログの内容は、下記動画でも解説しています。
機械設計エンジニアの業務範囲
機械設計エンジニアの業務範囲を解説していきます。
中心的な業務は、一般的にイメージされているように図面を描いて検討することです。
ユーザーから要求される仕様や操作方法、制約条件などをまとめた仕様書をもとに図面を描いていきます。
検討途中で最適な機械要素や機械を構成する購入品を選定していく必要があります。
また、機械要素だけではなくセンサやアクチュエータなど制御部品の型式を決定していきます。
どのように配置するか、どのタイミングで検知するか、どう動かすかを決めていく必要がるため選定時は、専門的知識を持っている電気、制御設計者と確認し合います。
機械設計エンジニアの仕事は図面を描いて終わりではありません。
機械が仕様通りできているか評価していきます。
評価をするのは専門部署ですが、評価方法と評価基準は機械設計者が考えて最終的な判断を出します。
評価結果によって改善が必要なところは原因を究明し、再度設計を見直し対策します。
機械設計者としてレベルアップするためにも、後工程について知る必要があります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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機械設計のプロセス(工程)
機械設計エンジニアの業務範囲がわかったので、次に機械設計の仕事のプロセス(工程)を解説していきます。
- 企画段階
- 構想設計
- 基本設計
- 詳細設計
- 試作・評価
- 量産
機械設計のプロセスは上記の6つですが、段階移行時にはデザインレビュー(DR)というものを実施しますが、今回は割愛し機械設計のプロセスは上記6つについて解説していきます。
今から解説するプロセスを読むとわかりますが一般に「機械設計」の仕事としてイメージされているのは、「基本設計」と「詳細設計」が合わさっています。
それでは、1つ1つどんなことしていくか解説していきます。
1.企画段階
ユーザー(顧客)からの要求内容を十分に理解し、製品の仕様を的確に把握し明文化します。
2.構想設計
ポンチ絵や3DCAD、2DCADなどで構想図を作成します。
構想図を作り製品や装置の概略機能や寸法など主要部分の仕様を決めていきます。
構想図は、その後の方向性を決定づけるので慎重に進める必要があります。
構想設計で方向性を確認し、後工程の基本設計にとって大切な仕様書を作成していきます。
3.基本設計
構想図をもとに検討図を作成していきます。
機械工学の知識を応用しながら、静・動特性の解析を実施します。
詳細な形状や寸法、構成部品を決めてから、製品のメンテナンス方法や評価方法・評価基準を決定してきます。
4.詳細設計
検討図をもとに組立図と部品図を作成し、出図します。
必要な部品を手配するために、組立図と部品図の情報から部品表を作成します。
5.試作・評価
部品表をもとに部品を手配(部品作成や購入)し、試作や評価をおこないます。
組み上がった製品あるいは試作品が仕様を満たしているかを評価基準に沿って評価を実施します。
不具合対策を実施し、量産して市場に投入してもいいレベルに持っていきます。
6.量産
試作・評価から量産して市場に投入してもいいレベルと判断してから、量産図(承認図・正式図)を作成していきます。
製品の取扱説明書を作成します。
製品によっては特許の出願を行います。
製品が出荷されたあとは、実際に使用したエンドユーザーの声から、良かった点、悪かった点を洗い出して分析をおこない次の設計に活かします。
今回はかけ足でしたが、機械設計のプロセスについて詳しく解説した記事がありますのでご覧ください。
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機械設計者の役割
機械設計の業務範囲、プロセスを解説してきました。
ここからは、機械設計者の役割を解説します。
- 経済性、安全性、利便性を考慮しながら独創的なアイデアを具現化する
- 製品開発を通して社会の発展に大きく貢献する
機械設計は、過去の経験によって積み重ねられた豊富な技術や論理的な考え方に基づいています。
単に要求仕様を満足させるだけでなく、付加価値の高い製品を生み出す必要があります。
不具合・不備はないかの評価・検証を重ね、安全と信頼の確保に取り込みます。
また、製品の権利を守るために特許を出願することも重要になっていきます。
機械設計者に求められるのは多岐にわたりますが、最終的にはエンドユーザーに喜んでもらえる機械・装置をつくることです。
どんな機械・装置が喜んでもらえるのか解説した記事があります。
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機械設計者の心得
機械設計者の心得も解説していきましょう。
機械設計は、機械設計者の意志が色濃く反映されます。
最も重要なことはユーザーの視点になって考えることです。
- 操作しやすいか
- 壊れにくいか
- 不具合が少ないか
- 安い
- 速い
- 精度がいい
- 静か
- 軽い
- 小さい
現状よりさらに快適になるのはどうしたらいいか、プラスして付加価値を付けられるか考えます。
新しいアイデアを生み出したり、思いつきを具現化することが大切になってきます。
アイデアを生み出すためには、単独で考える必要はありません。
諸先輩方のノウハウや事例を確認したり、チームで自由に意見を出し合ったり、専門知識の収集も大切です。
また、倫理的な意識を持つことも大切です。
どんな高性能な機械を作っても
- 人の命を奪う
- 負傷させる重大な事故
- 使用中や廃棄後に環境に悪影響
こんな機械は社会に受け入れられません。
ユーザーが喜ぶ顔を思い描き、法律・安全・環境を遵守し、たくさんの知識を集めて今以上の製品を発案していきましょう。
詳しくはこちらをご覧ください。
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機械設計はエンドユーザーに喜んでもらう仕事
若手の機械エンジニア、機械設計に興味がある学生さんいかがでしたか?
機械設計についてわからなかったことが、少しでもわかってもらえると幸いです。
機械設計者は、常に新しいアイデアを求められます。
機械設計者は、法律・安全・環境について厳しく求められます。
機械設計者は、完璧な設計できて当たり前と見られます。
機械設計の仕事は広範囲です。
でも、実際に仕事するときは企画なら企画。
構想設計は構想設計のみというように1つのプロセスを担当します。
機械設計の仕事をするときは、諸先輩方のノウハウ、失敗・成功事例をありがたく使いましょう。
自分が設計した製品をエンドユーザーに喜んでもらえるように最新技術の情報収集、専門知識のアップデートし、設計者としてレベルアップしていきましょう!^^
それでは!